18.44m
改めて考えてみると、自分はかなり野球に支えられている。
のめり込めることがあるから、毎日が充実したものになっている。
部活に入っていない連中からすれば『たかが部活』だと思うだろう。
でも、その『たかが部活』にすら本気になれない奴らに言われたくない。
本気で頑張れるから楽しいんだ。
本気だから充実できるんだ。
そういうものに出会うことができた。
遥にとって、それが野球だった。
この先もずっと、多分、一生続けていくと思う。
それくらい野球が好きだ、大好きだ。
『なっ、一緒に野球やろうよ』
あの日、あの一言がなかったら、今の自分はいなかっただろう。
バッテリーの相手が別だったら、ここまで信じて投げられただろうか。
『なあ、苗字じゃなくて、名前で呼び合おうぜ。
遥って呼ぶから、遥も駿って呼んでよ、そうしようよ』
『遥、ナイスボール。
ほら見ろよ。あのバッター、余裕カマしていたからすっげえ悔しがってる、ざまあみろだ。
5年生だからってバカにしてくる奴、全員ギャフンと言わせてやるぞ』
『なあなあ、今日で秘密の特訓100回目だぜ。
え?数えてないって……とにかく、今日で100回目なんだよ。
すごくねえか、おれら。こんなに特訓続けられちゃうなんてさ。
これからも頑張って続けていこうぜ』
……ああ、そうだ。
遥は目を閉じる。
野球をするときはいつでも、駿が隣にいてくれた。
マウンドがあって、駿がいて、駿のミットに向かって全力で投げる。
それが遥の野球だった。
帰り道、秋山たちの声が鼓膜の奥で響く。
『まさか、秋山が清水とバッテリー組むのか?』
『清水のキャッチャーは川口しかいねえよ』
『このまま川口が練習に来なかったら、おれがキャッチャーをやる』