ダレにも負けないぐらい愛してやる
十分寝れると思った。
「風呂入るか?」
何処かへ行ったと思っていた男の人は、上半身ハダカで頭にタオルを乗せ、手に持っていたバスタオルを私の前に出す。
要らない。そう言いたかったけど声が出てこない。
「喋れないのか?」
男の人は、首を傾げ私の顔を覗く。
「喋りたくないのか?」
この人は、どうして私を、ここに連れて来たの?
1人じゃ寂しそうにしていたから?
「お前・・・もしかして喋れないのか?」
長い前髪の隙間から見つめる瞳が私の胸の奥を見透かすようで少し怖い。