同居人は女社長
レッドと赤い屋根の家
レッドはエリンの着ていたシャツを掴んで羽織らせるとすぐにエリンの手首をひっぱって外に止めておいた車に乗せて走り出した。


エリンは車が走り出してから、じっと運転するレッドの顔を見つめている。


「レッド・・・?」


「よく、俺を覚えてくれていたな。
すごくうれしかったぜ。」



「ご、ごめんなさい・・・。レッドっていう名前しか思い出せないの。
なぜ、レッドって名前の人に助けを求めたのかも・・・わからない。

ごめんなさい・・・ごめんなさい。
私まだ、思い出せない・・・。」



「そっか・・・。じゃ、いきなりうちに戻ってもしんどいよな。
いきなり、うちの両親と兄妹たちが質問攻めすると思うしな・・・。

そうだ、うちの近くでアパートを借りよう。
そしてうちの家族に交代で話をしにきてもらえば、思い出せるかもしれない。」



「どうしてあなたの家族が私にかかわるの?
質問攻めってどうして?」



「君の本当の住まいはうちの実家なんだよ。
君はうちの下宿人で大家さんは俺の両親なんだ。」



「それは本当なの?」


「俺は嘘はついてない・・・何ならあとで君の部下で俺の弟のラングリオに事情を説明してもらってもいい。
まぁ、とにかく今夜はもう遅いからモーテルで1泊する。

あ・・・いっしょに泊まるけど、何もしないから安心してくれよ。」



「は、・・・はい。」



疲れで2人はその日ベッドに倒れこむなり、同じベッドで寝てしまっていた。

翌朝、エリンが目を覚ますと、レッドは食事の準備をしていた。



「すみません、私が・・・」


「いいって、疲れてるだろ。
よく食べて、もうちょっと我慢してくれよ。

いちおう住まいなんだけどさ、メールと電話でやりとりしている弟、昨日話したラングリオってヤツに探してもらったら、かわいい感じのアパートがあったから、そこにしばらく住むといい。
俺の家族が順番に君のところにやってくると思うから、君も自分のことを早く思いだせると思うんだけど。」


「あなたは?仕事に行っちゃうの?」


「ダメか?」


「だって知ってる人がいないから・・・怖いし・・・レッドにいてほしい。」


「俺のことは名前しか思い出せないんだろう?」


「ええ、だけど、今、頼れるのはあなたしかいないから。ごめんなさい!」



「エリン・・・もう、ほんとに君はそんなうれしいこと言っちゃって。
俺が君のリクエストを断れるわけがないだろ。
君が嫌じゃない限り、いっしょにいる・・・これでいいかい?」


「はい。」


ラングリオからレッドへすぐに電話がかかってきて、レッドはエリンを連れて新しい住まいへと連れていった。


「わぁ・・・かわいい!」


「ここは最近まで幼稚園だったらしい。それが子どもの数が減り、再開発の波で幼稚園としては維持できなくなってしまったということで、賃貸アパートになったんだ。」
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