同居人は女社長
エリンはキョロキョロ部屋をながめ、窓をあけてみる。


「赤いお屋根の小さなおうち・・・レッドが出かけてもレッドだわ。」


「はぁ?」


「あれ・・・私やっぱり頭がまだおかしいのかもしれないわ。
何言ってるんだか・・・。」


「そうだ、今夜はこの辺で規模は小さいが祭りがあるんだ。」


「あっ、赤い実祭りでしょ。
リンゴにトマトが主流で町にとってもいい香りがするのよね。」


「え・・・エリン・・・なんでそれ・・・。」



「えっ?あれ・・・私なんでそんなことを覚えてるのかしら。」



「そうか、案外どうでもいいようなことは思い出しやすいのかもしれないな。」


「あら・・・お祭りは簡単に言葉が出たわ。」



「そろそろいろんなことを思い出すときがきたのかもしれないな。」


「ねぇ・・・私は思い出してもいいの?
私は女社長なんでしょう?

社員がほんとは待ってるんでしょう?
なのに、キャピキャピしすぎよね。」



「ん~正式には、社長は今はべつの人がやってるよ。
君は別会社というか、小さな店のオーナーをしようと準備をしているところだったんだ。
それでその準備期間を利用して、まずリフレッシュ休暇に入ったところでさらわれて、記憶をなくしてしまうような毒をもられた。」


「じゃあ、私のせいで生活できなくなる人はいないのね。」


「じつはあまりにここにいても生活できなくなる社員はここにひとりいるんだけどな。」


「えっ!!!れ、レッドがぁ・・・あっ、そうよね、私の右腕さんだったら私が休んでいたら収入が・・・。
ごめんなさい。
私、復帰しなきゃ、お店やらないと・・・。」


「無理だって。
まだ無理だろ。自分がどこの誰なのか、俺がどういう男なのかもわかってないじゃないか。

仕事関係はぜんぜん思い出せないんだろう?」


「そうだけど・・・でも、レッドの生活が。」


「俺もラングも生活できないことはない。
報告書を送れば、リガオンから生活費程度は振り込んでもらえるしな。」


「リガオン?」


「俺の元上司みたいな男だな。
なんせ、俺は社長につきそっているわけだし。」


「ふふふ、そうね。
早く思い出したい・・・。

レッド・・・今夜はいっしょに寝てね。」



「ああ。・・・・・・ぇえぇええええ!!ブッ!!なっ!」


「だから隣の部屋にもベッドいれたでしょ。
そっちを使ってくれればいいから。」


「そ、そういう意味か。あはははは。・・・びっくりした。」
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