恋じゃなくてもイイですか?


「きゃあっ」と思わず声が上がり、叫び声を聞いたハルニレくんが何事と、部屋の中に入ってきた。


「本宮さん、どうしました?」


ひょっこりとベランダに顔出すと、ハルニレくんは驚いた顔をした。


「大丈夫ですか?」


「足が・・・助けて・・・」


ベランダに降り立った途端、底が抜けて、右足が嵌ってしまった。突然のことに、「下に落ちる!」と体がびっくりして反応したのか腰が抜けてしまい、その場に蹲った状態で立てなくなってしまった。


そんな私の様子を見て、ハルニレくんは早速、救出してくれた。ハルニレくんに支えられながら、畳の部屋に戻ると、膝をついて、気持ちを落ち着かせた。


「すみません。思ったより、老朽化が進んでたみたいですね。たまに掃除はするんですけど。床が抜け落ちたのは初めてだなぁ」


「あ~、びっくりした~」


「無事でよかったです。嵌った足は大丈夫ですか?」


「うん。よかったジーンズ履いてきてて。ちょっとぶつけたけど、傷はないみたい」


お互いにふぅ~と同時に安堵し、タイミングが合わせたようにぴったりと合っていたので、なんだか可笑しくなって、お互い笑い合った。


「そうだ、2階にはとっておきがあるんです!」


思い出したようにハルニレくんが立ち上がり、「こっちです。付いて来て下さい」と部屋を出た。


廊下側に続く洗面台の切れ間、丁度、「5号室」と「6号室」の向かい側に、外へと繋がるガラス戸があった。扉の奥は屋根のついた広めなベランダになっていた。


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