恋じゃなくてもイイですか?


相変わらず凄い寝癖で、フレームの大きな黒縁メガネを掛けたハルニレくんは緩いオーラを醸し出している。男の子のはずなのに、この安心感は何なんだろう?ここで2人で暮らすことになっても絶対、大丈夫みたいな?ハルニレくんには失礼かもしれないけれど。


「私、ここに住みたいなぁ」


自分でも意識せず、ふとそんな事を呟いていた。隣に立っていたハルニレくんが、少し驚いたように私の顔を覗き込む。


少し間が空いて、「はい、喜んで」と居酒屋の店員のような返事をした。あ、と何かを思い出したように右手を顎に添える。


「ベランダの補修工事、早急に始めますね」



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