容疑者はヒトリ。
今回品川署に配属されることが決まったのは
一ヶ月前である。
いわゆる人事異動というやつで、
浅草署から異動になったが
俺の鋭すぎる勘はもう噂になっているようだ。
『いいか、和田くん。君の素晴らしさは聞いているよ。だが、捜査の根本は我々に任せてリラックスしてやってくれよ、ここでは。』
警部である磯田はこう言った。
遠まわしに勝手なことはするな、と言っている。
俺は―――思うのだ、心から。
所謂のままでいい。
昇進は興味が無い。
ここが俺の居場所なのだから……。