擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
職員室の机に鞄を置いて、深く息を吐き、すとん、と椅子に座ると、やっと安堵することができた。
「寝坊しました?」
「はい・・・、冷や汗かきましたよ」
「やっぱりー。いつもより、化粧薄いと思ったんですよ」
流石、美原先生だ。目敏い。
いつも早い時間に来ていたおかげで、生徒の登校時間には間に合うことができ、悠々と授業の準備ができる時間もあった。
美原先生に言われて、少し気になり、鏡を取り出そうとすると、一緒になって折り畳まれた紙が床に落ちた。
「何か落ちましたよ?」
「あ、ありがとうございます」
素早く紙を回収すると、美原先生は持ち前の勘の鋭さを発揮した。
「何ですかー?それ。今隠しましたよね、絶対」
「そんなこと、無いですよ」
美原先生は口元に拳を当てながら「うーん」と悩むそぶりを見せ、私の横に密着してきた。
「その大きさ・・・。電話番号とかですか?」
「えっ!?」
「芹沢先生、分かりやすいですねー」
ケラケラと笑いながら、逃げるように椅子を滑らせて自分の席に戻って行った。
実際には電話番号では無いけれど、ほぼ正解。怖過ぎる。