擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
湯気の立つコーヒーカップを2つテーブルに置き、横に砂糖とミルクも置いたけど結城君は何も言わずにカップに口を付けた。
「で、俺は何をすればいい?」
「結城君には型紙に沿って布地を切ってほしい」
紙袋から型紙を布地を取り出してきて、ペンを使って型紙をなぞり、なぞったところを綺麗にハサミで切ってみせた。
「この布を先生が縫い合わせればできるんだ?」
「そうだよ。この工程で失敗するとその先にも影響があるから、慎重にね」
「コスプレが趣味って最初に聞いた時は馬鹿にしたけど、服作るのってすごいよね。こういうのも出来たりするの?」
結城君は自分が着ている学校指定の半袖のワイシャツとチェック柄のズボンを指差した。
「できるよ。制服は割と作る頻度が高いから・・・って、今の無し!」
意識が作業に向いていたせいでいらないことまで話してしまい、慌てて取り繕ったけど意味を成さなかった。
「じゃあさ、ボタン付け直すなんてお手の物?」
結城君はズボンと同じ青色のチェック柄のネクタイを少し持ち上げて、自分のシャツの取れかけたボタンを示した。
「先生が暴れた時に、ひっかけて取れたみたい」
「あ・・・、すみません。縫います」
結城君にお姫様抱っこされてしまったことを思い出すと、恥ずかしさで結城君を直視できなくなる。