涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「っ…なんでも、ねえよ。
始めようぜ、勉強」
やんわりと押された肩は、秋山くんと距離を作る。
「…うん、そうだね」
ふみこんではいけない。
踏み込まれて欲しくない、となんとなくわかった。
だから、黙って引き下がる。
隣の椅子を引いて、座った秋山くんは、真面目にペンを出して、数学の問題集を鞄から取り出す。
「んー…?」
早速つまづいたらしく、唸り始めた秋山くんに
「ここは、Xのところに、これを代入して…」
ヒントを教える。
すると
「あ、じゃあ、これがこうなって…?」
「そうそう!!」
さらりと解いた秋山くん。
次から次へと問題を解いて行く秋山くんは、数学が苦手だとは思えない。