涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




「頑張ろう」


告げた言葉は、よろしく、でも、お願いします、でもない。

それでもきっと、秋山君には伝わった。

前に進むため、あたしたちは今日から…


「うん。」


付き合い始めました。

付き合おうか、なんて、忘れるための言い訳で。

終わりにしよう、のあたしたちなりの違う言い方で。

…交わることのないお互いの幼なじみへの想いを裏に隠して、最大級の愛の言葉。

付き合おうか。

それは、結局はあの人たちへの愛の言葉でしかない、なんて皮肉な話。

涙なんて、枯れてしまえばいいのにね。


< 72 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop