手拭い村の奇祭
 ああああ、変に歴史好きだった己が恨めしい。
 わかったわかった、わかりましたよ。

 ていうか、思い出しました。
 鬼切丸ね。
 どうりで、聞き覚えがあると思ったわけだよ。

「ほんとにこれ、鬼を斬れるんだろうな?」

 ここまで聞かされちゃ、何かもうどうでもよくなるよね。
 いや、どうでもよくはない。

 でも、ほんとの意味で腹が据わるというか。
 ええ、今度こそ腹、据わりましたよ。
 ていうか、出来そうな気がしてくる。

「わしがずっとお守りしてきたのだ。力は半端ない」

「わかったよ。やってやる」

 とはいえ、そりゃあ怖いよ。
 こう話してるうちにもさ、お隣からねぇ、聞きたくもない物音が聞こえてくるんだ。
 ……ああ、お隣さん、喰われたな。

 慣れって怖い。
 そう思うだけで、別にもう何とも思わないんだもんな。

 僕は鬼切丸を抱いたまま、横になった。
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