手拭い村の奇祭
第四章
 この数日で、一体どれだけの犠牲が出たんだろう。
 といってもほんと、何日経ってんのかわからない。

 僕は白夜の国では生きられないな。
 太陽がしっかり沈んで昇ってしてくれないと、次の日になったって感覚がないんだもん。
 あ〜あ、ばーちゃん心配してるだろうな。

 それともまさか、僕はもう死んでしまってるんだろうか。
 あっちの世界では、普通に崖から落ちて死んでたりして。

 いや、そんなことないな。
 そうだとしても、意識不明で寝てるぐらいだろう。
 んで、きっとこっちの世界で鬼に喰われたら死んじゃうんだ。
 ……漫画でありそうな内容だな。

 とにかく恐ろしいことに、現状に慣れ切ってしまった僕は、暇を持て余してごろごろしてたんだ。

 初めはさ、緊張して、暇なんて感じなかったんだよ。
 当たり前じゃん?
 鬼に喰われるのが当たり前の世界だよ?
 いつでもびくびく緊張してたわけさ。

 でも最近は、寝ちゃったりするし。
 いやぁ、人の順応性って凄いよねぇ。
 そら皆、周りを気にせず生活するわ。
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