無口な同期とイチャラブ♡オフィス



【もぎり】を飛び出してキョロキョロと見渡す夜の街。優吾の姿はもう見えない。

わーん、優吾歩くの早いよー。

私は滲んでいた涙をグシグシと拭いながら遊歩道を走る。


もう帰っちゃったかなあ。家まで追い掛けるしかないよね。そんで、今度こそ絶対ぜんぶ話そう。もう限界だ。オッサンには悪いけど、全部全部話させてもらって、そんで謝るんだ。


そう決めて走ってたのに。泣きっ面にハチとは昔の人はよく言ったもんで。

「あっ!!」

パンプスで走っていた私はウッカリ排水溝の網にヒールを挟ませてしまい、そのまま足を取られてアスファルトにスライディングした。高校球児並の滑り込みだった。


「いったぁーい!!」


すりむいた。膝もおでこも。ストッキングごと擦り切れて両膝から血が出てる。服もドロドロ。買ったばっかりの秋物カットソー泥だらけ。愛用のオレンジのチェック柄パンプスもヒールがポッキリ折れてしまった。

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