無口な同期とイチャラブ♡オフィス


「もう恋愛すんのイヤになってきた……。俺も二次元へ逃避しよっかな」

「逃避とか言うな。それに三次元に敗れたヤツが二次元でやってけると思うでない。二次元こそ無償の愛が必要なんだから」


どんよりとした俺に、口ではお説教しつつも柴木ちゃんは自分の和食御膳に付いていた刺身コンニャクをそっとくれた。もしかして慰めのつもり?優しいなあ。


俺はイカフライカレーをのっそりと口に運びながら窓の外のイルミネーションを眺める。


街路樹に飾られた電飾。向かいのビルのディスプレイのツリー。

そんな華やかな景色の手前で、窓ガラスにしょぼくれた顔の俺と黙々と飯を食う柴木ちゃんの姿が映ってた。


なんか変な感じ。俺たちだけあっちの華やかな世界からはじき出されたみたいに見える。

なんて、柴木ちゃんに失礼か。彼女はクリスマスをしっかり堪能してきたんだもんな。

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