今さら恋なんて…
「…そうですね。嫌ですか?」
「嫌じゃないけど…」
「“けど”が多いですね、司さん」
「……」
痛いところ突かれた…。
「無理強いはしませんよ。嫌なら断ってください」
「……」
「司さん?」
ふと立ち止まった龍哉に合わせて、あたしも立ち止まり、その顔を見上げる。
街灯や月に照らされて、色素が薄い龍哉は暗闇から浮き上がって見えて…何だか異世界の人、みたいだ…。
この人は、良くも悪くも、あたしに新しい世界を見せてくれる人なんだろうな、って…直感した…。
「……嫌じゃないよ。連れてって」
素直に、言葉が出た。
ひねくれないで自分の気持ちを言うのは…久し振りかもしれない。
龍哉は至極嬉しそうな顔をすると、
「はい。かしこまりました」
なんて、囁いた。