今さら恋なんて…
そー言えば、この前…
「女性の靴を脱がすのって、ドキドキしますよね。なかなか出来ない体験だし」
…やっぱり、そうだよね。
龍哉、あたしをベッドに運んだ時、ハイヒールを脱がせてくれたんだ…。
きっと、ベッドの脇に並べて置いてくれたんだろうけど…夜中に起きたあたしはそれを知らずに蹴散らしたらしく…あらぬ方向に転がってたなぁ…。
数々の醜態を反省しつつ、ため息を吐いていると、エレベーターが止まった。
「どうぞ」
龍哉は当たり前の様にドアを押さえながら、あたしを下ろしてくれた。
「ありがと」
フロアに出ると、相変わらず優しい間接照明が出迎えてくれる。
「じゃぁ、すみませんが、ここで待っていてください」
「うん。分かった。急がなくて大丈夫だから」
「ありがとうございます」
龍哉はそう言って軽く頭を下げると、“STAFF ONLY”と書かれたドアの向こうに消えていった…。