今さら恋なんて…
あたしは、ふぅ、とため息を吐きながら、ソファーにもたれかかった。
窓の外では、スーツ姿の人達がせわしなくすれ違い、歩いていた。
…やっぱり平日、なんだなぁ…今日って…。
「……景色いいところの方がよかったですか?」
龍哉もあたしと同じように窓の外を眺め、そう訊いた。
「……景色いいところ、ってシーフォート?」
「はい」
「……袴田さんに監視されそうだから…ここの方がいいよ」
少し意地悪な笑みを浮かべた袴田さんの顔が目に浮かんで、あたしはそう呟く。
シーフォートでランチ食べるなら、あのカフェになるんだろうけど、袴田さんにとっては、あたしはいい存在じゃないだろうし…。
「袴田さんに?…まぁ、けっこうあの人意地悪ですからね…」
「やっぱり?あたしのこと、龍哉の連れだと思ってるなら…意地悪全開だよね?」
「全開、って…。でも、そうかもしれないですね」
龍哉は目を丸くしてそう言ったあと、くすくすと笑った。