今さら恋なんて…
「……ん。あたしは絵には疎いし…」
「その代わり“イケメン”には興味あるんですもんね」
龍哉はくすくすと笑いながらそう呟く。
「……」
思わず無言で龍哉を睨む。
でも、目の前の龍哉は緩く微笑みながらあたしを見つめるだけだ。
「……イケメン鑑賞しよう、っと…」
余裕な龍哉の態度に、あたしは体ごと窓の方に向け、そう呟いた。
脚を組み、その上で頬杖を突いて窓の外をしばらく眺めていたけれど…目の前の通りを歩いている人達の中には…龍哉に叶う程のイケメンは居なかった…。
「……イケメン居ました?」
龍哉はコーヒーを飲み干したあと、あたしにそう訊いた。
「……目の前の人以外居なかった」
涼しい顔が憎らしくて、あたしは龍哉を見ながらそう呟く。
「……恥ずかしいからやめてください」
龍哉は照れくさそうにあたしから視線を外してそう呟いた。