今さら恋なんて…
「“セクハラ”って言わないんだ」
「……予想外の発言に動揺しました」
「……ぷっ…」
「笑わないでください」
龍哉は軽くあたしを睨みながらそう呟く。
「睨まないでよ。褒めたのに」
「褒められた気がしませんよ」
龍哉はそう呟くとお冷やを飲む。
「…このあとぶらぶらしようかと思ってたんですけど…帰ろうかな」
ちらり、と腕時計を見た龍哉はそう呟いた。
「え?いいじゃん。行こうよ」
思わずそう食いつくと、
「……行きたいですか?」
って、意地悪な笑みを浮かべた龍哉に訊かれる。
何でこんなにすぐ攻守交代させられるんだろう。
どっちが年上か…分からなくなる。
こんな年下の男に手玉に取られてるのか?あたし…。
そんなことを考えながらも、
「……行く」
ってあたしは呟いて、カップに残っていたコーヒーを飲み干した…。