今さら恋なんて…



「“結局若い子がいいんじゃん”って思っちゃった」


「……」


「……前園さん?」


「…え、あ。すみません。…ひどいですね、彼…じゃなかった元・彼氏さん…」


「でしょう?…あー、やっぱり優しくて頼りがいのある年上の人がいいなぁ」


「……ですねぇ…」


やっぱり彼氏が年下、って色々大変なのかな…。


龍哉も…本当は年下の女の子の方が好きなんじゃ…。


そう考えてしまって、あたしは何度も手を止めてしまった。


お客様は自分の話をするのに一生懸命だったから、異変に気付かれることはなかったけど…後ろを通り過ぎる央輔があたしを心配そうな顔で見てて…

「あ。そー言えば南さん、って彼女居るんですか…?」

って、お客様は央輔の話を始めたんだけど…。


もう…あたしは心ここにあらず、って感じで…。


そこから先は何も余計なことは考えず、ただただカットに集中しようと頭を切り替えるしかなかった…。



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