今さら恋なんて…
「環子ちゃん、マジ可愛い」
その声に振り返ると、守本がニヤニヤと笑っていた。
「…お前、いつから居たんだよ」
思わず突っ込むと、
「え?“照れてる店長初めて見た”の辺りからですけど?」
守本は白い歯を覗かせながらそう言って笑う。
「……」
ほぼ話聞かれてたんじゃないか…。
「…にしても、店長さすがですねー。あんなイケメン堕としちゃうなんて」
守本はミルクティー色の髪を揺らしながらあたしの顔を覗き込む。
「堕としてないし」
「付き合っちゃえばいいじゃないですか」
「はぁ?」
「店長には幸せになって欲しいんですー」
守本は唇を尖らせるとそう呟いた。