今さら恋なんて…



そんな中、

「店長」

って話しかけてきたのは守本だった。


「どした?」


「髪、セットしますか?」


「ん?」


「おーちゃんには聞きましたけど…遊川様を堕とす気なら色気倍増させないと」

ニカッ、と笑いながらそう言った守本の額にあたしは思わずデコピンする。


「痛っ」

ミルクティー色の前髪がふわりと踊るのと同時に悲鳴を上げた守本は、その場でしゃがみ込み、低い声で唸る。


「い…痛い…」


「お前がアホなこと言うからだろ?」


「だって、店長ぅ…」


「だってじゃない。あたしは龍哉とどうこうなろうって気は無いんだよ」


「あんなにイケメンなのに」


「てめぇ…あたしがイケメンとは付き合わないって知ってて…」




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