クールな彼と放課後の恋
「……っ、…ん?」


稲瀬を意識し過ぎて、返事の仕方もどうしたらいいのかわからなくなっている。

ぎこちなく返事をして振り返ると、稲瀬は私にそっと近づいてくる…




「コーヒー飲みたいんだけど…」

「あ、今いれる!カフェオレがいい?コーヒー牛乳もあるし!」

「じゃあ…」





私に顔を近づける稲瀬…そして…





「ブラック。アイスで」

「…う、うん」


か、顔近いよっ


私は稲瀬から瞬時に離れ、棚からグラスをひとつ出した。





「おかず、お弁当箱に詰めちゃうね」


すると、日向がキッチンにやって来る。




「あ、うん!卵焼きだけ、まだ作ってないんだ…お願いしていい?」

「OK~」


お弁当の続きを日向に任せ、私は稲瀬のアイスコーヒーを入れる。




「あー腹減った~俺パン4枚ね♪」


修君もテーブルに座り、オレンジジュースの入ったグラスを持ち、グビグビと飲んだ。




稲瀬と修君がいる朝…

昨日は日曜だったから、ただ稲瀬たちが遊びに来てるって感じの1日だったけど…


今日は違う。

これから学校に行く前に、みんなで朝食を食べるってことは…

やっぱり一緒に住んでるんだよね…



稲瀬のことが好きって気づいた今…

それって、すごく有利じゃない?


片想いの相手と同居してるなんて、チャンスたくさんあるよね!



うん。

頑張れ私っ!



心の中でガッツポーズをし、自分の初恋自分で応援する。





「ねえ…」

「は、はいっっ」


また稲瀬が私を呼んだ。

体は石のようになり、背筋がピンと張った。





「俺もパン4枚」






「あ…パンね、今焼くよ。はいコーヒー!」


稲瀬と目を合わせずに、コーヒーの入ったグラスだけ渡す。
< 119 / 246 >

この作品をシェア

pagetop