クールな彼と放課後の恋
「次移動教室だよね。私音楽だー陽葵ちゃんは?」

「私は美術」

「じゃあ別々かぁ。そろそろ行かないと」

「うん!あとでね」


私以外の子たちは、
みんな音楽室へ行った。



美術選択してるの私だけかぁ…

ま、1人の方が楽だけどね。

面倒なことに巻き込まれたくないし。


私はかばんを持って、
一人で美術室へ向かった。

盗難防止の為、うちの学校は移動教室の時は自分の荷物を持っていくのが決まりになっている。






「今日はデッサンをするぞー。目の前にある果物の絵を各自描くように」


カゴにフルーツが入った物をみんなで囲むようにして座り、各自用紙にデッサンを始める。



美術は結構好きだな。

絵描くの結構得意だし!


画用紙に鉛筆で絵を描いていくと…



ん?


ふと窓際に目をやった時、
窓側の方に稲瀬の姿が見えた。

稲瀬は眠そうな顔をしてデッサンしている。




あいつも選択美術だったんだ!

話しかけるチャンス!



横の2人挟んだところにいる稲瀬に、
手を振って合図する。

でも稲瀬は全然気づいてくれない…



あいつめ〜

ちょっとはこっち見ろっての!


ブンブンと手を振る私…



「どうした藤川?何か質問か?」

「ハッ……!」
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