白銀のトライアングル
進級できた嘉雄がこの事を知ったのは、すでに紗耶が康介と同棲したあとだった。

もう、この時点で彼女を取り戻そうとする気持ちは嘉雄にはできなかった。

今の嘉雄ならわからないが、あの頃の嘉雄にはサラリーマンの康介に男として勝てる自信がなかった。

というより、今ならばこんな馬鹿な考えはしなかっただろうが・・・

男として、紗耶が他の男のものになってしまった事を許せないことのほうが、強かった。

これが、若さだったと思う以外に何もなかった。

だから、嘉雄は今でも何であの電話のあとに一度でも病院へ行かなかったのか・・・

何で、あの時に紗耶のお願いをよく電話でも聞いてあげなかったのか・・・

と、いろんな事を何度も考えてしまっていた。

今更と思っていても、この時ほど自分の行動に後悔したことはなかった。

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