私んちの婚約者
そんな彼の様子に、一縷の望みをかけて聞いてみる。

「か、からかってるだけだよね?本当はなーんにもありませんでしたってオチだよね!?」

今にもつかみかからんばかりの私に、彼はにっこり上機嫌に微笑んだ。


なんだこの余裕は。
ムカツクムカツクムカツク。

ああそうですか、こんな状況に慣れっこですか、モテイケメンめ!


黒い渦を噴射しそうな私をよそに、愁也はその長い指をこちらに向けた。胸元にトン、と軽い感触。


「自分の胸に聞いてみな」


それがわかんないから聞いてるんじゃああっ!!


今の私は昨日の服のまま。ただしシフォンのワンピースは脱いでいて、インナーに着ていたキャミワンピ姿だ。
しかしこれは微妙……!

身体が重いのは、そうか二日酔いだよね。そうそう、と自分を全力でフォローして。


ふと自分の胸を見下ろして、キャミソールから覗く胸元に点々と、赤い痕。


これって。
これって……っ!?


「嘘ぉ!」


自分の胸に聞けってそういう意味!?

ひたすら慌てる私。
大爆笑の婚約者。


なんだ、この状況ーー!?
というか、そんな甘いあれこれがあったなら大爆笑、する!?


頭を抱えた私は、必死で記憶をたぐり寄せる。
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