私んちの婚約者
さあ振り返ってみよう。


酔っ払って、タクシーで帰ってきた。
家に着いて、歩く気力もなくて、玄関に倒れた。



……ハイ、回想終了。



……あたしはアホかあああっ!!?




で、でもホントに覚えてないよぅ……。


「あ、あの、私達、ゆうべは」


『最後までしちゃった?』
……とか聞けるかあっ!


愁也は未だに笑ってて教えてくれない。笑い上戸か、この野郎。
やっぱり拳で口を割らせるべきかと、ぎゅっと手を握りしめたなら。


「くくく……梓、顔に出まくり。悪どいこと考えてるだろ」


愁也はもうお腹を抱えてる。
というかあなた上半身裸ですけどね、なんかいい感じの腹筋見えてますけどね。鍛えてるんですね。


ていうか、この人こんなに笑うんだ。涙まで浮かんじゃってるけど。


意外に可愛い……なんて思っちゃってる私、大丈夫かしら。
まだ酒が残ってるのかな。


遠い目をして現実逃避し始めた私を、彼がおーいと呼び戻した。チ、余計な真似を。
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