私んちの婚約者
作戦、婚約者
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“着信 マキ”

ピッ。

「はいは~い、梓です。ただいま誘拐されておりますので、ご用の方はメッセージをどうぞ」

『誘拐犯に、大事な合コンがあるから、今週末までに帰して下さいってお願いしなさい』

ムチャクチャ言うなあ、マキってば。

「むしろ今誘拐されてるのは俺の方だけど」

透也が背後で呟いた。うるさいな。

「ただいま梓は“愁也奪回大作戦”の本部にて捜査会議中でぇす。マキさんに捜査協力を求めます」

「出張してやったわよ」

マキの声が携帯と扉の外と、両方から聞こえた。私は扉へ呼びかける。

「“山”!」
「ビッグサンダーマウンテン」

マキが応えた。

「そこは“川”じゃないのかよ」

透也がぼそりと呟いた。
私達は構わず言い合う。

「夢の国?」
「年間パスポート」

「合い言葉じゃなくて、ただの連想ゲームになってないか」

透也がさっさと扉を開けた。

そこには腕組みして悠然と立つ、私の親友。

「来たわよ、梓」

マキちゃああんっ!!

マキはつかつかと部屋に入ると、透也の顔を見て呟いた。

「うわ、ほんとそっくり。きもちわるっ」

「……お前は友達まで失礼だな」

透也がげんなりと私に言った。

「まあまあ、落ち込まないで。こう見えてマキちゃんは、ドSなだけだから」

「見たままだけどな?」

私達のやりとりを見ていたマキは、溜め息をつく。

「全く、しばらく大学を休んでたと思ったら、こんなのに引っかかってたの」

「こんなの……」

泣くな、透也。
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