私んちの婚約者
なんで?
なんで見つかるの?
私自身どこ通ってきたのかなんて、全然覚えてないのに。


「GPSでも付けてんの……?」

小さな呟きに、ふ、と背後の空気が緩んだ気がした。

どうして、愁也には私を見つけられるの?
愁也だから、なの?


「本当に独りで日本に帰るつもり?」


後ろから低く囁く、愛おしい声。
少し、震えているのは、愁也も動揺してるのかな。

「だったら、何よ」

ああ、こら、梓~、素直になれ、私~

たった一言、だってば。




「……ごめん」



先に謝ったのは、愁也だった。


「俺に会いに来たんだよな?拗ねてイヤミなんて言って、ごめん」

「ほんとだよ、このヤキモチ男め!!」

私も愁也を責められる立場じゃないけど、堂々と自分のことは棚にあげてみた。
私のモットーは自分にめちゃ甘、他人に厳しくだ!!

……とはいえ。
愁也には、激甘なのだ。

私は首に回された腕を掴む。


「……私も、ごめんなさい」

「うん……」

愁也が私の耳元に、キスをした。

やっと、言えたなあ。

でも、これじゃ足りない……よね?
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