私んちの婚約者
「はい」

車に乗ってすぐ、彼に渡されたのはミルクティーとアボカドと海老、クリームチーズとサーモンのサンド。

完璧だ――!!!

「私の好きなものばっかり!」

ニコニコと頬張れば、愁也がクスリと笑った。

「可愛いな、アンタって」

「そ、そんなことなくもなくってよ」

「だから、何キャラ……?」

甘さ全開で褒められると、なんだか気恥ずかしい。
そんな私を横目で見て、愁也は楽しそうに微笑んでいて。

彼が隣に居る事にもう嬉しくて恥ずかしくて幸せで。
私今、ひどく浮かれてる。


車が緩やかに止まった。
あ、信号待ち。

「梓、ひとくち」

促されて、反射的にサンドイッチを差し出すと、私の手からそのまま、愁也が口を開けてかぶりつく。

うわ、か、可愛いんですけど。

「ズルい!色気の次は愛らしさで勝負か!私のガールな立場は!?」

「何それ、いいがかり?」

愁也が引きつった顔で言う。

ええ!そうですとも!

どうしよう。
前よりずっとドキドキする。

「このサンドイッチ、なんか盛った?……惚れ薬的な何か」

「ムラムラすんの?」

ち、ちが~う!!
イヤ、違わない?

……違いません、すみません!!!


「俺は、するけど、ね?」


愁也が甘い甘い声で、妖しく囁いた―――。
< 99 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop