冬美の初恋
「で、でもさ…今日向こうからメールきたんでしょ?いいかもよ?」

「わかんない……」

万里はフォローしてくれたけど、私はうつむいた。

「まぁ……話できたら報告してよ。会うの今日でしょ?」

「……うん」

マナミに言われて私は頷いた。

メールで話を聞く事も多分できたけど、聞かなかった。

雨くんを思い出すと、あのデートの事を思い出して辛いけど…。

それでも、会いたかった。

一目でいいから。

会う口実がほしかった。

授業後にいつもの古本屋に向かうと、めずらしく店のシャッターがしまっていた。

その前には、すでに雨くんが立っていた。

「お待たせ………しました」

「久しぶり」

雨くんはいつものように、帰り道にそって歩き出した。

「……最近、学校きてた?」

「あんまり…ちょっと、体調崩して………」

気を遣わせたくなくて、思わず仮病にしてしまった。

「そう……今は、大丈夫?なんかやせたけど」

「はい、もう健康です」

「………山瀬、あれから学校来てないんだけど」
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