隣のチャラ男くん
「しろー?」

「なに」

「美味しい、それ?」


これであたしを買収する気じゃないでしょうねと若干疑いつつも、「うん」と真白は首肯した。

あんまり甘くないミルクティーみたいだ。


「じゃ、ま、それでいっか」

「……なにが」

「いや、もういいや。うん、今日はいい加減学校行きなよ、おまえ。留年とか洒落になんねぇからね」


言われなくても分かってるし、と子どもじみた文句を飲み込んで、真白は手元のマグに視線を落とした。

あたしの為にこんなもんまで作るとは、こいつは相当暇人だ。

それともかなみへの布石か。


暖房からは暖かい空気が室内に送られ続けている。暖かい飲み物。
美味しいごはんについでに慎吾。

この家から出たくなる要素は、慎吾が作り出してるんじゃんと、こっそり駄目人間は本日も家から出ないだろう言い訳を作り上げていた。

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