愛されオーラに包まれて
『遥香…』

越後が驚いて遥香を見ると、遥香は立ち上がり、

『局長、お願いです。あの時、遠藤部長を連れてきた強引さと、朱里の同期の私に免じて、これ以上、朱里の心をえぐるような言葉を並べるのは、止めていただけませんでしょうか』

局長は遥香を見ると、微笑んだ。

そして越後に、

『越後、高松のおかげで助かったな。高松は俺の部下だ。部下を悲しませるような真似はしたくない』

すると遥香はさらに食いついた。

『私はそんなつもりで言ったわけではありません。朱里の…やり方は間違えていたかもしれませんが、桐生さんの同情を誘いたい気持ちは、分かるので』
『桐生は、いいか?』

俺にコメントを求める局長。

「いえ、今ここで言うべきことは、特にありません」

ここで、越後に何て言えばいいんだよ。

分からない。

みんなが会議室を出るところで、金澤が、

『何か、ちょっと懐かしかったな』
「懐かしい?」
『フフ。こっちの話』
「変なヤツ」
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