愛されオーラに包まれて
結局、越後は総務局預りになり、一から研修をやり直すことになった。

会社側は"ほとぼりが覚めるまで"と言うことらしいが、どうなるんだろうか。

局長は、多分悪者になったのだろうと俺は感じた。
遥香の性格上、越後を庇うだろうと考えたのかも知れない。

遥香と越後が、再び同期の仲間として歩み寄れるチャンス。

だから遥香には、

「越後と時間を取ろう。そして二人で謝ろう」

と、俺は話して、彼女も同意した。

ところが、遥香が料理書フェアの準備で忙しく、なかなか時間が作れない。

土日はふたりの貴重な時間だから、潰したくないし…

結局、かつて一緒に飲みに行っていた促進局の花村も誘って平日夜に時間が取れたのは、【きらきら】の次の号が発売され、夜風が大分冷たくなってきた、10月の初旬のことだった。
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