愛されオーラに包まれて
花村も遥香に続く。

「越後にも、必ずいい人は現れる。自分を磨けば魅力は出るし、そこに惚れる男が現れるよ。それこそ、俺を超えるいい男がね」
『世の中には桐生さんを超えるいい男、星の数ほどいますから』
「あ、それ軽く傷ついたな」

"アハハハ"とみんなで笑う。

もちろん、傷ついたのは冗談。
俺をいい男だと思ってくれるのは、遥香だけで十分だ。
それに俺はそんなにいい男じゃない。

この店に入って2時間を超えるけど、遥香と花村が一緒に現れた最初の光景が、まだ完璧に脳裏に残っていて、嫉妬の心が全然消えない、むしろ情けない男。

遥香、ごめんな。
今日は木曜日だけど、お前を俺の家に連れて帰るから。

そして、それを実行に移した俺は、どうしても遥香の心を俺の存在でいっぱいにしたくて…

激しく、遥香を抱き続けたんだ。

もちろん、

「愛してるよ、遥香」
『泰河ぁ、大好きぃ』

と言葉で伝えることも忘れずに。

ただ、翌日、

"身体中が痛い"と重い身体を引き摺るようにしながら出勤する遥香を見たら、少しだけ申し訳ない気持ちになったけど。

少しだけ、ね?

仕方ないだろ?
途中、遥香だって"おねだり"してきたじゃねーか。

そんな可愛い顔して言われると、ブレーキ掛けられないことくらい、お前もそろそろ分かれよ。

どんだけ、俺が遥香を愛してるかってこと。
< 115 / 345 >

この作品をシェア

pagetop