愛されオーラに包まれて
『幸せだね、私達』

1度交わって、少し熱が冷めた後、玲奈が言った。

「そうだな。結婚したいと思った好きな人と結ばれるって、奇跡なんだなって思える」
『でも、舟さんの神戸さんを見る目。健吾が茉莉を見る目と一緒だったよ』
「そう?」
『娘を慈愛する目』

東京に置いてきた娘。
でも親はこんなところで愛を確かめ合っている。

「そうか。じゃ、東京帰ったら、茉莉をギューって抱きしめてあげよう」
『うん』

玲奈が頷いた。

「でも、東京帰るまでの間に、パパとママが愛し合っていたって、別にバチは当たらないだろ?」
『そうだよね。その気持ちがあったから、茉莉が生まれてきたんだもんね』
「神戸さんのそういう恋情の要素を、解決できればいいんだが」

俺のこの言葉に、玲奈が首を傾げた。

『神戸さんは、もう大丈夫なんじゃないの?』
「いや、実はまだ1つだけ解決すべきことが残っているんだけど、それは俺が出る役目じゃないんだ」
『どういうこと?』

玲奈ごめん。
具体的にはまだ言えないんだ。

「愛し続ける努力が、結果的に愛されることになればいいな、神戸さんのお相手も」
『ふぅん。そんな種類の話か。なら健吾が出たら、きっとただのお節介になりそうだね』
「俺は、人の恋より、目の前の玲奈だから」

そう言って俺は玲奈に深いキスを落とし、お互いが満足するまで、まどろんだ。
< 220 / 345 >

この作品をシェア

pagetop