愛されオーラに包まれて
『あとは、寺尾さんに段取りを伝えるだけだね。編集部、大丈夫かな。イベントの度に、そこがいつも不安でさ』
「そうだよね。私が直接話すわけじゃないしね」
『当日、営業局からは誰か手伝いが来るの?』
「日下部長と、玲奈さんと、泰河と、あと時間が合えば局長」
『ま、予想通りのメンバーだね』

打ち合わせが終わって、まだ仕事の残っていた由依と別れた。

時刻は夕方。
会社には戻らず、直帰することにした私。

"飲みに行かない?"と花村さんに誘われたけど、泰河とごはんを食べに行く約束があったので断った。

『へぇ、こんな日に高松に予定を入れるなんて、桐生はどんだけ俺のことを警戒しているんだか』

泰河は花村さんをすごく警戒している。
花村さんと一緒に仕事をする時は、いつもこれだ。

今回のイベントも土曜日だけど"手伝う"と真っ先に手を挙げた。

理由は"花村がいるから"。
何でだろうな?

でもその理由はすぐに分かった。

泰河と一緒に入った居酒屋。
2人で飲みに行くのは久しぶり。

ここは半個室で、ひとつひとつが布や壁で仕切られているお店だ。

『打ち合わせ、どうだった?』

当然、今度の寺尾リエさんのトークショーのことだ。
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