愛されオーラに包まれて
「由依と花村さんで進めちゃって。私は"はい"って言っているだけだった」
『だろうな』
「やっぱり分かる?」
『仕方ないよ。お前は初めてなんだから。でも初めてだって、ショーの進行責任者はお前だぞ』
「分かってるよ」

だから、不安なんだ。

『でも、大丈夫。今回のうちからのスタッフのメンバーを考えてみろ』

考えてみれば、日下部長以外は、あの群馬にみんなで行った時のメンバーだ。

『みんな、お前の味方だから』

味方?
それにしても泰河は花村さんをエラく警戒してない?

「なら、何で泰河は花村さんを警戒しているの?花村さんから今日も飲みに誘われて断ったら花村さんがそう言ってたから」
『・・・あいつは、遊び人だから』
「え?でも彼女いるよね」

確かに、ほとんど彼女との話は花村さんの口からは出て来たのを聞いたことはないけど・・・

『その彼女は"キープ"だからね』
「キープ?」
『俺も会ったことはないけど、とりあえずアクセサリー的な存在だよね』

泰河はそう言うとビールを一気飲みした。

「どういうことよ」
『外見で、隣を歩かせておけば、見栄えがいい女性だということ』
「ひどい、それ。じゃ、本当に好きだと思って付き合ってないってこと?」
『アイツにもいろいろ事情はあるんだよ。だから常に"セフレ"が何人かいる状態』
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