愛されオーラに包まれて
『13人ですよ』

遥香が答える。
遥香も新入社員研修に参加していたから、この花村の問いには朝飯前だ。

『あと、局長クラスの人事異動が激しいという噂、ありますよね』

花村は一体、どこから情報を得てくるんだ?
総務局にセフレでもいるのか。

『そんなの、お前の部署の局長に聞けよ』

局長は明言を避けた。
社内人事の噂に興味のない俺でも聞いたことがある。

次期社長の立場である局長の次のポストは副社長。

役員人事になるので、5月に行われる株主総会の承認によって副社長の役職に就くのが流れ。

6月の定期異動で空いたポストを埋めていく。

局長が営業局で局長になったのが、俺や金澤が営業局に来たタイミングと一緒。
間もなく2年になる。

局長は入社時は今は花村のいる販売促進局=促進局で花村のように書店営業の仕事をしていた。

2年後、営業局に移り、販売一部で週刊誌と男性ファッション誌の担当を1年やった後、販売五部で1年部長としての勤務を経て、局長になった。

ここまでの流れだと、営業局2年という期間は、決して短いものではない。
いつ、局長が営業局を巣立ってもおかしくない状況なんだ。

何とか、局長がいる間に一人前になれるといいな。

俺はそう思った。
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