愛されオーラに包まれて
○新入社員の勢い~side TAIGA~
6月。
定期異動のシーズンのわが社。

噂のあった成瀬川局長の副社長の就任は結局なく、そのまま局長のポストにいる。
少なくともあと1年は仕事ができる。

そして新入社員も入ってきた。
異動で出て行った3人分を埋める。

男性社員の堀(ホリ)と蒲田(カマタ)はそれぞれ販売一部と三部
女性社員の清水(シミズ)は販売五部。

俺のいる販売二部や遥香のいる六部は人の異動がなかった。

そんなフレッシュな顔ぶれが入り新しい風が吹いた営業局フロア。

そんな中でもいつも通りある【料理関連本企画会議】。

来週月曜日に開催されるための資料をムックの企画分は俺が作り、遥香が書籍の企画分をまとめて人数分のコピーを取る。

遥香の席に行くが、遥香は離席中。
だから資料を机の上に置いて自分の机に戻ろうとすると、金澤が"ちょっと"と俺に手招きした。

「何だよ」

遥香の向かいの席の金澤の席に行く俺。

『恵美加から聞いたんだ』

俺と金澤の同期で総務局の根本のことか。

「何?」
『今度三部に来た蒲田くん。要注意』
「は?」

金澤は"はい"とひとつ飴をくれた。

イチゴ味。
< 230 / 345 >

この作品をシェア

pagetop