愛されオーラに包まれて
『バレた?』
「飲みの機会に私がいても大丈夫なんですか?」
『いいのいいの。俺と局長、飲み仲間でしょっちゅうどっかに行っているけど、2人で行くのはさすがに最近飽きてきていたから、ちょうどいいよ』

そんな気楽な相談じゃないと思うんだけど。

局長と日下部長が飲み仲間だったってことが、何だか意外。

『高松さん、日下部長に何を相談したのですか?』

私が相談したのは、由依に言われた"周りに相談できなければ、その子は孤独だよ"という一言が引っかかり、部を超えて清水さんの手伝いをした方がいいのか、という話だった。

『確かに、周りに相談するのは、今の五部では無理だよな。羽賀部長は完全に清水さんを見捨ててるし』

局長はそう言うと肘をついて赤ワインを飲んだ。

そういうところが剛さんと違って、ちょっと粗相のある感じ。

「どうして見捨てたんですか?専務の娘さんだから?」
『実はそれもあった。"貧乏くじを引いた"って嘆いていたし』

局長はため息をつく。

『その状況で、さらに火に油を注いだんだよね、清水さん』
『はい・・・』

販売会社に部数交渉に行っていた清水さん。

新人なので、部長と一緒に行った。

こちらの提示と、販売会社が引き受ける数に隔たりがあったので、部長が言葉を選びつつ、交渉していた。
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