愛されオーラに包まれて
『初恋って、よく言うけど、俺の初恋って、遅くてさ。高校2年生の時だったんだ』

それは、遅い。
普通なら、小学生とか普通にありそうなのに。

『でもおかしいのが、初恋はそこなのに、童貞喪失は中学3年生』
「順番が違うよね」
『男って、とにかく早く童貞喪失を済ませたいっていう興味本位で女性の体を抱く場合があるけど、俺はまさにその典型。ちなみに相手はうちの床屋の常連だった人の奥さん』

うぅ・・・そんなこと、彼女に言うことなんだろうか。

『もちろん、俺もその人にも心はなく、ただセックスを楽しむだけ。その時点では俺はまだ初恋さえも未経験だったから』

そう言うと泰河は苦笑いした。

『初恋の人は、テニス部時代の同級生。でもとにかく高嶺の花でさ。告白はしたけど、その頃俺は誘われるまま誰とでもセックスしていた噂が出回っていて、逆に毛嫌いされて』
「普通の女子なら、そういう態度をしても仕方ないよ」
『実際は、告白を逆にされた別の同級生と付き合っていたんだけど、どうしても彼女を好きになれなくて、いいように利用をしていただけ。告白したテニス部の同級生の子がどうしても忘れられなくて、その子を想って彼女を抱いていた』
「最低」

でも、泰河はそういう人だと予想はしていたから、大してショックはない。
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