愛されオーラに包まれて
5月に行われる、株主総会。

それに合わせて役員人事が改められる。
去年も噂があったけど、今年もそれが絶えなかった、局長の副社長就任。

いつかはあることだから覚悟はするけれど、そうなってくると結婚式への主賓をお願いしている俺達としては、意味合いが違ってくる。

そして迎えた、株主総会前日。

総会資料を見た秘書室で同期のウツから連絡があった。

"成瀬川局長、やっぱり副社長への就任が内定してる。明日の総会で株主の承認がされれば、6月からは営業局を離れるよ"

恐らく否認されることは、まずないだろう。

でも、もう遅い。

招待状は既に発送を完了していて、返信が来ていないのは数名のみ。

新しい局長に招待状を送るのは、正直もう間に合わない。

成瀬川局長はそのままもちろん主賓としてご列席いただくが、新しい局長については、準備の関係でご列席いただけない旨の事情を説明しておこう。
俺は密かにそう決めた。

株主総会後、役員改選人事が発令。

事前の情報通り、成瀬川局長は副社長へ就任。
残りの人事は翌日内示がされることになっていた。
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