愛されオーラに包まれて
定期人事異動。
そこで、新しい局長及び、俺か遥香かどちらかの異動も内示される。

が・・・

成瀬川局長から俺が呼び出された。
本当は遥香も呼びたかったようだが、あいにく販売会社に外出中で不在。

会議室に呼ばれた俺は、異動を覚悟した。

「異動の、話ですよね？」
『そうだ』

局長はそう言って一枚の紙をテーブルの上に出し、俺に向けて差し出した。

会社全体の異動予定者の一覧。
旧部署と新部署が記されている。

見ると、営業局の新局長は、販売促進局の一部で部長である渡部部長。
それから名前を追って見る。

すると、そこには、

【高松遥香　旧部署：営業局販売六部　新部署：総務局秘書室】

え？遥香が異動？

そしてその一覧に俺の名前はなかった。

「遥香が異動で、俺が営業局に残るということですね」
『そうだ。そして、人事異動にはこういう種類があるのを、知っているよな』

局長はもう一枚の紙を出した。

タイトルは、

【局内異動者一覧】

会社全体の局内のみの異動者を記したものだった。

その中に、俺の名前があった。

【桐生泰河　旧部署：営業局販売二部　新部署：営業局販売六部兼販売二部】

え？兼任？

先に書いてある部署がメインの所属になるので、俺は事実上六部に局内異動ということになる。
< 303 / 345 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop