愛されオーラに包まれて
『別に、勉強のためにここへ連れてきた、とかそんな意図はないからね』

と玲奈さんは言う。

店内は、本当に一般の家のダイニングを少し改造した感じのこぢんまりとした雰囲気。

『いらっしゃい。待ってたよ。玲奈ちゃん、久しぶりだね』
『1年ぶりくらいですかね。マサさん、お久しぶりです』

このオーナーらしき人が私に挨拶してきた。

『私がここのオーナーで木村と申します。玲奈ちゃんとは、玲奈ちゃんが社会人になる前からの知り合いです』
「あ、はい。あの、私、玲奈さんと同じ部署の後輩で高松遥香と申します」

"さぁ、座って。今日は君たち以外に誰も来ないから"と言いながらカウンターキッチンに向かう木村さん。

『それにしても、女の子を連れてくるって言うから美郷ちゃん以外の子かな、とは思ったけど、後輩を連れてくるとはね。大学の頃でもなかったから、よっぽどじゃない?』
『急にお願いしちゃってすみません』

と、言いながら、玲奈さんは立ち上がってカウンターに向かい、マサさんに小声で何か伝えたみたい。
< 36 / 345 >

この作品をシェア

pagetop