愛されオーラに包まれて
『桐生くんと何かあったんでしょ』
「どうして分かったんですか?」

"フフ"と玲奈さんが笑う。

『だって、桐生くんも元気ないもん』

桐生さんが元気ない?
元々口数のそんなに多い人ではないし、私には全く感じないんだけど…

「あの、それは…」
『話さないと、ずっと引き摺るし、仕事にも少なからず影響が出るでしょ?大丈夫。マサさんはいるけど口は固いから』

と言ったところで前菜が来た。

『俺のことは気にしないでね』

と、すぐにカウンター奥に行く木村さん。

「分かりました」

私は意を決して歓迎会後の出来事を洗いざらい話した。

玲奈さんは"へぇ"とか"ほんとに?"とか、全てに相槌を打って私の話を聞いてくれた。

「…どう、思います?」

玲奈さんは"うーん"と口に指を当ててしばらく考えてから、話し始めた。

『結論から先に言えばさ、どっちもどっち?』

玲奈さんは首を傾げながら言う。

『それはさ、桐生くんは無抵抗で泥酔状態の遥香ちゃんとシチゃったわけでしょ?理性をコントロールできなかった桐生くんも悪い』

玲奈さんはサラダを食べていたフォークを置いて、白ワインをひと口飲んだ。
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