愛されオーラに包まれて
「高松遥香と申します。まだ何も分からないひよっ子ですが、早く仕事に慣れるように頑張ります。よろしくお願いします」

私は頭を下げた。

『高松さん、座っていいよ。あとのメンバーは座ったままで、簡単に行こう』

部長は私から見て一番左の男性を促す。

『村尾靖(ムラオヤスシ)です。入社7年目になります。よろしく』

次に、その左の男性。

『入社…あれ、何年目だっけ。あ、12年目だ。小津孝彦(オヅタカヒコ)です。よろしくね』

最後に、私の正面に座る女性。
どこかで見たことある。

『入社2年目、金澤玲奈と申します。一緒に頑張ろうね』

金澤さんはそう言うと、さらに両手の拳を上げて"ファイト"と言って私に微笑んでくれた。

『金澤さん、喜んでるでしょ』

村尾さんが言う。

『当たり前じゃないですか。今まで紅一点だったんですよ』
『まぁ、高松さんにも早く六部の雰囲気に慣れてもらいたいところで、これを見てください』

部長は全員に紙を配った。

販売六部の担当表。

『高松さんも知っているとは思うが、我が六部は、児童書、保育図書、実用書など守備範囲の広い内容の書籍を扱う部署だ。隣の五部は小説、エッセイ、図鑑のみを扱うので、それ以外のものは全部うちと思って間違いない』
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