愛されオーラに包まれて
『アルコール、飲みますか?』
「また俺に送らせたいのか」
『いや、そんなわけじゃないですけど、今日は金曜日だし、飲まなきゃもったいない気がしません?』
「まぁ、そうだな。じゃぁ、グラスビールにするかな。お前も同じでいいか?」
『はい』

そうやって、俺と高松との初"ディナーデート"の幕が開いた。

最初は午前中に高松と話したチーズケーキ本の話だった。

『予算を湯水の如く使う編集部って、何なんですかね?』

高松が怒っている。
そんな可愛い顔して怒っても、俺には効果ないよ。

『でも、よくムック扱いに切り替えられましたね。編集の…早乙女さん?クセ者だって話でしたし』
「それは、早乙女さんに旅費の領収書を経理に提出した際のコピーを使って調べて、グリーン車使ってたりビジネスクラスを使ってたりしたことをつついたから。まぁ、つつく場面は、局長に同席してもらったけど」

俺はまだ入社2年目。

俺1人だと早乙女さんを説得できないところで、局長がフォローしてくれたんだ。

『そう言う時って、局長の前に二部の遠藤部長が同席するべきではないんですか?』
「お前、遠藤部長の人となりを知らないからそんなことが言えるんだよ」
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