愛されオーラに包まれて
『お前が心配すべきは、今ここにはお前と俺しかいない。また先週のようなことが起こるとも限らないし、自分の操を守れるかどうかだ』

ちょ、ちょっと、それは桐生さんの理性次第じゃない。
でも、私はもし仮に、桐生さんに今襲われたとしても受け入れられると思う。

今、その気持ちを言葉にして桐生さんに伝えたいから。

この1週間、桐生さんとの距離を感じた時、自分の気持ちに気付いてしまったから。

「上着、脱いでもいいですか?」

と、私は桐生さんの返事を待つことなく脱いで、それをクローゼットにかけた。

「桐生さんも脱いでください。暑いし、堅苦しいし」

と、私の言葉に素直に従う桐生さんの分も掛けた。

そしてどちらが言うわけでもなく、ベッドの向かい側にある2人掛けで少し余るくらいの大きさのソファーに腰かけた。

より、ふたりの距離が近くなる。
でも、これでいい。

私が素直に気持ちを桐生さんにぶつけなきゃ。

「桐生さん、まず、先週は申し訳ありませんでした」

私は桐生さんに向かって頭を下げた。

「タクシー代、私の介抱、そして泊めてもらって、翌日は送ってもらった。なのに私ったらその場でお礼すらまともに言えず…」
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